謝罪・クレーム対応で気づいたこと ― 上司が出たのに、なぜ場がこじれたのか ―
クレーム対応や謝罪の場面で、
「上司が出れば収まるはず」
そう考えたことはないでしょうか。
私自身、そう思って現場に出た一人です。
ところが実際には、上司である私が出たことで、かえって場をこじらせてしまいました。
「何をしにきたの?」
そう言われた瞬間、
自分の判断がズレていたことを痛感しました。
この記事では、
謝罪・クレーム対応の現場で起きたその失敗をもとに、
なぜ“正しそうな判断”が逆効果になったのか、
そして
上司にしかできない役割と、部下でも対応できる役割の線引き
について整理していきます。
クレーム対応で起きた、私自身の失敗
「事象の報告と謝罪が必要なケース」だと、部下から接続された
ある日、部下が担当していた案件でクレームが入りました。
部下から受けた報告内容は、
・こちら側に説明不足があったこと
・認識のズレが生じていたこと
・その結果、お客様が不快に感じていること
そして部下の接続としては、
「まずは事象の整理と謝罪が必要なケースだと思います」
というものでした。
私はその前提に立ち、
特別な判断や条件提示までは想定せず、
上司として同席する 判断をしました。
目的は、
・経緯を整理する
・こちらの非を認める
・誠意を持って謝罪する
その場を丁寧に収めることでした。
現場で初めて「求められていたもの」に気づいた
ところが、実際に話を進めていく中で、
お客様から次のような言葉がありました。
「こちらから何かを求める前に、
そちらから謝罪の方法を提示するべきじゃないですか?」
言葉自体は冷静でしたが、
そこには、
・会社として、どう責任を取るつもりなのか
・誠意をどう“形”で示すのか
・補填も含めた判断があるはずではないか
そうした強い不満と期待が含まれていました。
その瞬間、
こちらの前提と、お客様の期待値が大きくズレている
ことに気づきました。
こちらは
「事象の報告と謝罪をする場」
だと思って来ていた。
一方でお客様は、
「謝罪の方法(補填など)まで提示される場」
だと受け取っていたのだと思います。
「何をしにきたの?」と言われた瞬間
こちらが状況説明と謝罪を続けていると、
お客様から出たのが、
「で、今日は何をしにきたの?」
という言葉でした。
・上司まで来ているのに、具体策がない
・こちらが求める前提の話を続けられている
・誠意は感じるが、覚悟が見えない
そう感じさせてしまったのだと思います。
結果として、
訪問前よりも怒りを強めてしまい、
クレームを深める場 を作ってしまいました。
なぜ、その場で「謝罪の方法」を提示できなかったのか
判断材料と権限が、揃っていなかった
後から振り返ると、
その場で即座に提示できなかった理由は明確でした。
・影響範囲がどこまで広がっているのか
・お客様が最も不満に感じているポイントはどこか
・補填が必要だとしたら、どのレベルが妥当か
こうした 判断に必要な材料 は、
現場で初めて見えてきた部分が多かったのです。
また、補填や条件提示は
その場の空気で決めていいものではありません。
社内ルールや前例、影響範囲を踏まえる必要があります。
つまり、
事前に想定していなければ即答できない状況 でした。
ただ、相手から見れば「覚悟がない」ように映る
一方で、お客様から見れば事情は関係ありません。
・上司が来ている
・非を認めている
・なのに具体策が出てこない
この状態は、
「誠意はあるが、責任の取り方が見えない」
そう映ってしまいます。
だからこそ、
「こちらから求める前に、
そちらから提示すべきではないか」
という言葉につながったのだと思います。
上司にしかできない役割、部下でもできる役割
部下でも対応できること
・事実関係の説明
・一次謝罪
・相手の話を最後まで聞くこと
これらは立場に関係なく重要で、
むしろ 当事者である部下のほうが適している場面 も多い。
上司にしかできないこと
・判断や条件提示
・理不尽な要求から部下を守ること
・信頼回復の最終局面で前に出ること
だからこそ、
最初から出るのではなく、必要なタイミングで出る
この線引きが重要になります。
上司が報告を受けたときに、必ず確認すべき3つの質問
クレーム報告を受けたとき、
内容そのものより大切なのは 前提のすり合わせ です。
① お客様は「何をしに来てほしい」と思っているか?
・話を聞いてほしいのか
・謝罪が欲しいのか
・判断や補填まで期待しているのか
「今日の訪問で、
お客様はどこまで話が進むと思っていそうか?」
この一言で、多くのズレは防げます。
② 今日の訪問は「聞く日」か「決める日」か?
・感情整理が目的なのか
・何かを決める前提なのか
ここを決めずに行くと、
「上司が来たのに何も決まらない」
という不満を生みやすくなります。
③ 部下は、どこまで自分で対応できると思っているか?
・謝罪までは一人でできるのか
・補填の話が出たら止めたいのか
この認識を揃えることは、
部下を守ることにもつながります。
読者にしてほしい一歩
次にクレームやトラブルが起きたとき、
すぐに「自分が出なきゃ」と思う前に、
「今、相手が求めているのは
解決か、感情の整理か?」
この問いを一度、自分に投げてみてください。
それだけで、
介入のタイミングも、言葉の選び方も、
大きく変わるはずです。
迷っているなら、一緒に整理しましょう
もし今、
・上司としての立ち位置
・部下との距離感
・自分の判断が正しいのかという不安
そんなものを抱えているなら、
一人で答えを出そうとしなくて大丈夫です。
私は完璧なマネジメントができる人間ではありません。
ただ、失敗しながら考え、整理してきました。
このブログが、
「間違ってない。ただ、思考ややり方を整えるだけ」
そう感じるきっかけになれば嬉しいです。
もし、もう少し具体的に整理したいと思ったら、
気軽にキャリアや仕事の相談をしてください。
あなたの状況に合わせて、一緒に考えます。
